先に、①健康=平均寿命、②豊かさ=1人当たりの名目GDP、
③自由と人権=体制自由度という基準によって、
現代世界における君主国の位置付けを試みた
(ブログ「平均寿命、1人当たりのGDP、体制自由度から見る
『君主国』」7月17日公開)。その結果、①平均寿命が“80歳以上”、②1人当たりの名目GDPが
“3万ドル以上”、③体制自由度(政治的権利40点満点+市民自由度60点満点)が
“90点以上”という指標を設けた場合、①②③をすべて兼ね備えている国々は、
わずかに19ヵ国で(この中に、今のところ世界最大の経済・軍事大国である
アメリカは含まれない)、そのうち“12ヵ国”が君主国という結論を得た。これは、世界中で君主国が(英連邦王国15ヵ国を含めても)
42ヵ国しかない現実を考えると、君主国(具体的には“伝統ある立憲君主国”)
の優越性をハッキリと示していた。これに、更に④治安=殺人発生件数という基準を追加すると、どうなるか。
10万人当たりの殺人発生件数がわずか“1件以下”という厳しい指標を設け、
国連の犯罪調査統計(2020年)によって上記の①②③を兼ね備えた
19ヵ国に当てはめてみる。
すると、7ヵ国が脱落して12ヵ国だけ残った(革命で君主制を滅ぼし、
革命に伴う内戦と対外戦争で155万人もの死者を出して、
近代国家への転換を果たしたフランスは、残念ながらここに含まれていない)。
具体的な国名を挙げると以下の通り。日本、ルクセンブルク、イタリア、スイス、ノルウェー、オランダ、
スペイン、アイルランド、オーストリア、デンマーク、台湾、オーストラリア、これらのうち、7ヵ国は君主国だ(オーストラリアは言うまでもなく英連邦王国)。
世界で国の数は約200ある(わが国が現在承認している国は195ヵ国で、
それに日本を加えると196ヵ国。ただし日本が承認していない北朝鮮は
国連加盟国。又、台湾は“地域”でなく国と見るべきだろう。
他にパレスチナなど微妙なケースもある)。その中で、上記の12ヵ国は“最も恵まれた”国々と言ってよいだろう。
そのうち、君主国は共和国に比べて遥かに数が少ないのに、
半数以上の7ヵ国も占めている事実は、伝統ある立憲君主国の場合、
一般の共和国と比べて、国民の幸福への貢献が格段に“大きい”
ことを示している。なお普通、人口規模が大きくなれば、それだけ治安が悪化して、
殺人発生件数も増大しがちだが、天皇・皇室を戴くわが国の場合は
国民の数が1億人を越え、先の国々の中で飛び抜けて人口が多い
にもかかわらず、その件数はわずかに0.25件(つまり40万人〔!〕当たり1件)
という低さだ。私は、わが国の将来において、「共和国万歳!」
という叫び声を聞きたいとは思わない。【高森明勅公式サイト】
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